2018年度付中通信第5号 付中入試

2018.6.15 高水高等学校付属中学校長 宮本 剛

付中入試について、今年度の初めから校内委員会を中心に活発な議論を戦わせている。その議論の中で、私たちがいちばん悩むのは、入試改革は結局私たちがどんな学校を作りたいのかという問題提起となってしまうということだ。入試はここで学んでほしい生徒を選ぶ取り組みなのだから、当然ここで私たちはどんな教育がしたいのかという前提がなければならない。

何をいまさらとおっしゃる向きもあるかと思うが、考えてみてほしい。日本という国家においても、3年後には大学入試制度が抜本的に変わるのである。それはなぜかと言えば、今の入試制度では現実社会に対応できないからではないか。今ある社会、さらに言えば未来の社会に対応できる教育を学校が担えるように、大学は本気になって教育内容を吟味し直しているのだ。それは、本校とて自前で議論し、答えを出さねばならない課題なのである。

お手本はすでに文科省が新しい学習指導要領で示している。「主体的・対話的な深い学び」というフレーズが今回のキイワードだが、問題はこのような学びに適した生徒をどう選抜するかということである。12歳の子どもたちのどこをどう試したらよいのか?

不易流行というが、私学にとっての不易は建学の精神や校訓などに示されている。だからたぶん不易について選抜という疑念は必要ない気がする。必要を感じるのは流行の部分だ。「主体的・対話的な深い学び」も国の教育の流行と言っていいだろう。ではわが校の流行は何か。国の方針も内包しつつ、国よりももっと先を見つめ、祈りを込めた教育の方針があり、その内容が考えられねばならない。