2018年度付中通信第9号 地域が子どもを育てる

2018.8.15  高水高等学校付属中学校長 宮本 剛

前回に引き続き、新学習指導要領がらみの話題です。

「アクティブ・ラーニング」型授業、文科省の言う「主体的・対話的で深い学び」=学び方改革に教育界では注目が集まっていますが、もう一つの大きな変化は、「社会に開かれた教育課程」という理念です。「よりよい学校教育を通じてよりより社会を創る」という目標を学校と社会が共有し、両者が連携・協働して子どもたちに必要な資質・能力を育むことを意味しています。

そんなことを、今さら大げさに、と思われるかもしれませんが、学校社会は、理念としてわざわざ掲げなくてはならないくらい、社会に開かれていない社会なのかもしれません。ちなみに山口県の小中学校のコミュニティースクールの加入率はなんと100%に達し、地域と学校が協働して子どもたちを育てていこうというこの県の取り組みが全国的に有名なことはご存じですか。

私は自分自身が居住する地域社会で、もうかれこれ15年間にわたって「地域が子どもを育てる」というコンセプトの下、仲間と一緒に地域の小中学校を地域の活性化を推進する軸において活動してきました。小学生をこの活動(わかりやすく言うと村おこし、かな)に引き込むと、その保護者にも参加してもらえるし、さらにその上の世代のおじいちゃんおばあちゃんにも声をかけやすくなります。ここでは学校が地域を求めるのではなく、地域が学校を求めるという方向で私たちは多くの仲間を得てきました。

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、「地域で子どもを育てる」のではありません。「地域が」というところに、実は地域でないと子どもは育てられないというメッセージがありました。文科省もまだこの点には気づいていないでしょうね。

もちろん、私のことですから、本校からは高校生を中心にずっとこの活動にいざなってきました。地域の人々と高校生が交流し一緒に活動する、そんな取り組みを先輩から後輩へと受け継がせる、それが私の15年間にわたるチャレンジとなっていました。