中高一貫(六年制普通科)

研究成果発表

平成30年度

「第12回全日本高校模擬国連大会」選抜出場

2018年11月17日(土)~18日(日)、東京の国連大学において、第12回全日本高校模擬国連大会が開催されました。模擬国連とは、国連会議のシミュレーションを通じて、現代の世界におけるさまざまな課題について学ぶための教育プログラムです。本大会には、139校(213チーム)の応募の中から86チームが選抜され、本校からは2チームが出場しました。この結果、今年で7年連続、11回目の出場となりました。

議 題:武器移転(Arms Transfers)
議 場:国連総会軍縮・安全保障委員会(第一委員会)

高水Aチーム担当国:Democratic People’s Republic of Korea
六年制普通科1年 豊田ゆき乃  高田樹
高水Bチーム担当国:Netherlands
六年制普通科2年 山田優志  明道星那
引率教諭:池田辰之

「Chance, Challenge, and Change」

六年制普通科1年 豊田ゆき乃

 今回の模擬国連を通じて私が得たものは「出会い」だ。
 まず私が出会ったのは「国際問題について考える機会」だ。今まで正面から国際問題について向き合ったことはなかった。平和な暮らしに満足し、日本のことすら知らなかった。そして次に出会ったのが「担当国」だ。他国の立場で考えるという視点は私にはなかった。しかし担当国の資料を分析していくうちに、その国の主義主張の裏には地理的歴史的な背景や経済状況など「なるほど」と思える理由があった。今まで日本人の視点でしか物事を見ていなかったので、その国にはマイナスイメージしかなかったのに、親近感が湧いてきた。
 そして「新しい言葉」の数々。日本語も英語も見たことも聞いたこともない言葉ばかり。理解するのに時間がかかったが、何度も読み返すうちに慣れてきた。資料も読めるようになった。「新しい知識」との出会いだ。しかし、読めば読むほど知識のなさと時間のなさに焦りを感じた。そんな不安な気持ちを支えてくれたのが友達や先生だ。一人ではくじけていただろう。そして池田先生は行き詰まって途方に暮れてしまったとき、いつも的確なアドバイスをくださった。先生のスマートな考えや言葉が混乱した頭をすっきりさせてくれた。
 また大会前に灘高校で行われた練習会で出会った他校の高校生の意気込みや知識は、同じ高校生とは思えず、本物だと感じた。そして大会本番。今の自分ができる最大限の努力をして臨んだが、知識も英語力も交渉術も何もかも不十分だった。「本物」とは何かを体験することができた。何が足りないのか、本気で考え本物になりたいと思った。
 模擬国連は、私に今までとは違う新しい見方、新しい言葉や知識、そして新しい仲閒との出会いをもたらし、本物を経験させたくれた。このような機会をいただいたことに感謝の気持ちでいっぱいだ。

「Step Up」

六年制普通科1年 高田 樹

 私は、今回の模擬国連大会に出場して、大きく成長できたことが三つある。
 一つ目は、積極的に行動することだ。模擬国連大会では、ひとつの国を代表して参加する。国連でやっていることを高校生が模擬するのだ。したがって、私たちは一国の代表として自国の利益を守り、世界平和を目指すうえで議論、または交渉しなければならない。そこで、必要となってくるのは「積極性」だ。積極的に交渉しなければ、自国の利益を守れない。また、そもそも自分から積極的に声をかけないと議論を進めていくことができない。そんな状況下に置かれることで、私はとても成長することができた。話しかけることを恐れずに、積極性を持つ大切さを得ることができた。
 二つ目は時間の管理の仕方だ。模擬国連大会の選考から準備の間、私は普段の生活と模擬国連大会の準備の両立に苦しんだ。しかし、4か月という期間、そんなハードな生活を送ったおかげで、時間の大切さ、管理することの必要性、なにを優先すべきか、という判断力を養えた。また、寝る時間を削ってやらなければ間に合わなかったため、根気も身についたと思う。模擬国連大会の二日間でも、必要のない時間は削り、時間の有効活用に努めた。会議中の時間配分にも気を配り、各国の大使と何分間話すかなども気を付けた。準備期間、本当に辛かったが、本番のときに最後まで頑張りぬくことができた。
 三つ目は、英語力だ。模擬国連大会に出場していた人たちの英語力は、とてもレベルの高いものだった。日常会話はできて当たり前のレベルだった。模擬国連大会では、議題にもよるが、必ず専門用語が必要になる。例えば、発言をするときは自国のプラカードを挙げて議長にあててもらい、決まったフレーズで意見を言わなくてはならない。また、その発言理由も英語で言わなくてはならないので、どれだけ早く、正確に文章を構成するかが大切になってくる。これからも、英語力の向上をしていきたい。
 模擬国連大会に出場して、私は大きく成長できた。体験して学んだことをこれからの学校生活、家での過ごし方などに活かしたいと思う。今回頑張ったことを無駄にしないため、これからも頑張っていこうと思う。

「模擬国連するなら高水高校」

六年制普通科2年 山田優志

 今年、私は全日本模擬国連大会に出場させていただいた。これから書くことは私が他者から学んだことを多分に含んでおり、それ故に引率の先生や模擬国連に関わっていた人々の言葉を借りることが多いだろう。つまり一々受け売りである、などと補足するのは面倒くさいので、始めに該当の方々には承諾してもらいたく思う。
 私は、全く自堕落である。勉強にも本気で向き合えていなかった。そんな自分をこの生温い田舎の環境から離れた場所、刺激に晒してそんな自堕落を撃ち砕けはしまいかと,誰にも言わなかったが、そんな小さな目標を抱いてこの大会に臨んだ。結果、撃ち砕けたものは少しの自堕落さと自分の言うなればプライド、自惚れ、将来への安心などなど。
 本当に良い経験をさせていただいた。模擬国連の大意(参加する意義)は、今回の私や過去の先輩方がそうであったように、普段全国模試などでトップ争いをしていたり、国内外の有名大学に進学したりするような人たちに出会って、自分がいかに井の中の蛙であるかを確認し、そしてそんな自分を囲む大海を実際に見知ることにあると考える。模擬国連自体に興味を見出せない人は、そちらに重きを置いて応募してみても良いだろう。そして胸に留めるべきことはここでの失敗は失敗にはならない。ありきたりなことを言えばそこでの経験、関係づくり全てが宝であるのだ。
 私は、今年模擬国連に出場したことによって初めて、去年応募に必要な課題も中途半端なままこなさず、結局出ようとしなかったことを大変後悔した。高校1年の時に出ていたら今日までを本当に有意義に過ごせたかもしれない。高校2年で初めて臨むのはとても大変なことであるし、模擬国連を体験することは早ければ早いほどいいと感じたのだ。高1で出た人と高2から出た人とでは気付きの早さが本当に違う。高1から出られた人達はこれまでをきっと大切に出来たことだろう。我々はこれから卒業までの1年と少しを、彼らの数倍大切に生きねばならない。そうでなければ彼らにも、そして今回模擬国連で出会った高みにいる人たちにも追いつくことは到底できないだろう。
 私は、上記のような理由からも、後輩たちが一人でも多く模擬国連に出るよう呼びかけたい。応募してみるだけでも、課題に取り組んでみるだけでも、それが本気で取り組んだのならひと夏で何かを必ず掴めるはずだ。この文章を読んで、君たちの中で何か少しでも思うもの、感じたものがあるならとてもうれしい。
 最後に模擬国連に出させていただいたこと、全面的にサポートしてくださった先生方、関わってくださったすべての方々に対し、ここに感謝の意を表します。
 本当にありがとうございました。

「私が見ている世界の狭さ」

六年制普通科2年 明道星那

 中六合同発表会で先輩方の発表を見たことが私の模擬国連との初めての出会いだった。自分も同じ経験をしてみたい、同じ舞台に立ってみたい!と思った。そして高1で校内選考を受けたが、落ちてしまった。とても悔しく、来年は絶対にリベンジしてやる!と決意していた。そして今年、校内選考と書類審査ののち全国への切符を手にすることができ、安心と嬉しさの気持ちでいっぱいだった。
 そこからのリサーチが大変だった。議題が難しく、その内容を理解するまでにたくさんの時間を要してしまった。また、PPP(事前に提出する課題)を埋めるためにどうやって調べれば良いのかもわからなかった。準備がこれほど大変だと思っておらず、自分の力の無さを実感した。また、自分のやっていることが本番に役立つのか不安で、心が折れそうになる時が多々あった。
 そして本番前日。今まで準備してきたことを活かすことができるのか自信がなく、不安を抱えたままだった。その日、過去に出場した先輩方と話をする機会があった。そこで、たくさん相談に乗っていただいた。先輩も同じように本番を迎えるまで不安でいっぱいだったと聞き、自分だけじゃなかったのだと安心することができた。また、アドバイスもたくさんして下さったおかげで悩みも一気に吹き飛んだ。「悔いが残らないように、全力でやっておいで」という先輩の言葉が心に響き、明日頑張るぞ!という気持ちが強くなった。
 そして迎えた本番で、全国との差を痛いほど思い知らされた。英語力や理解力、思考力などあらゆる点で自分は劣っていた。強豪校相手でも、もしかしたら対等に渡り合うことができるのではないか、と少しでも思っていたことが間違いだった。しかし、苦しさの中に楽しさがあった。自分が何かできたわけではない。だが、不思議と終わった後に達成感と充実感を感じることができた。
 模擬国連を通じて、私は井の中の蛙だったことを知ることができた。見る世界が広がったことで自分に出来ないことが見つかった。全国には同じ高校生とは思えないほど優れた能力を持っている人達がいるのだと身をもって知ることができた。今までどれだけ狭い世界しか見てこなかったのか実感し、もっと見る目を外へと向けていこう!という気持ちになった。また、たくさんの人たちと知り合うことができたおかげで、人脈が広がった。そのおかげで、普段関わることができない人とも繋がることができた。これからも、これらを財産として大切にして生きたい。また、集中力や視野を広く持つことなどこれからの人生に必要なものを養うこともできたのではないかと思う。
 そして私に足りなかったものは、多くある情報を要点だけ抜き出してまとめる力と、人にわかりやすく説明する力だった。今まで、自分の要約や説明は他の人よりも上手くできている自信があったが、それは間違っていた。全国には自分の上をいく高校生がたくさんいて、自分が自惚れていただけなのだと感じた。このような力をもっと伸ばすために、話し合いなどの場で話を上手くまとめたり、日頃から人に勉強などわからない所をわかりやすく教えるように心がけたりしようと思う。自分が十分に理解していないと相手に伝えることができないということがよくわかったので、これからは人一倍理解しようと努力する心を大事にしていきたい。
 最後に、支えて下さった池田先生、その他の先生方、家族、協力してくれた豊田・高田ペア、応援してくれた先輩やクラスの友人達、そして一緒にペアとして向き合ってくれた山田くんに感謝を伝えたい。
 本当にありがとうございました。

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